天城山で目撃した天空の城とは

天城山で目撃した「天空の城」とは

「天城の瞳」とも称えられる紺碧の八丁池。その吸い込まれそうなブルーアイを一目見ようと、ひとり天城山の中腹へと向かった。やっとの思いで辿り着いた高台で、私は神秘の憂いを湛えるブルーアイと、その後方にそびえる「天空の城」を目撃したのだった。

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旅行記

1日目

天城山で目撃した「天空の城」とは

伊豆の踊子文学碑
伊豆の踊子文学碑

国道414号沿いの水生地下には駐車場とバス停があり、八丁池に行く場合はここで車を降りるしかない。国道を渡り「踊子歩道」に入ると、程なくして「伊豆の踊子文学碑」がある。「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいた…」で始まる有名な書き出しと、川端康成のレリーフが刻まれていた。

木々が生い茂る林道
木々が生い茂る林道

目前の大きな切り株に手をつくと、力を振り絞ってそれを越え、さらに続く険峻な山道を息を切らして進んでいく。あとどのくらいで目的地に着くのか。疲労と汗で目が霞む。
天城の秘境といわれる「天城峠から八丁池への道」は、想像以上にハードな道程だ。

天空の城 Fugaku
天空の城 Fugaku

滴り落ちる汗を拭いながらヒメシャラの群生地を抜けると、八丁池まで0.1キロの標識に辿り着く。そこから八丁池と反対方向の高台に登ると、そこには眩いばかりの絶景が広がっていた。神秘の憂いを湛える八丁池と、天空の城「富岳」。私が目撃した富士山は、そう呼ぶに相応しい威容を誇っていた。私は富岳に向かって思わず「バルス!」と叫んでいた。

杉林
深い陰翳を刻む杉林

復路は、往路とは違う緑鮮やかな林道を下りる。八丁池口まで行き、そこから水生地下駐車場までバスで行こうという魂胆だ。麓に近づくにつれ山深い森林の様相を呈し、登りと違い余裕がでたせいか、景色も優しく感じられた。足元に鬱蒼と広がるシダや苔、陽光が錐のように差し込み深い陰翳を刻む杉林が眼前に広がり、思わず与作ならぬ「ヘイヘイホー!」と叫ぶ。
バスに乗り込み車に戻った時には、身体が鉛のように重かった。さあ、疲れを癒しに温泉へ行こう。ここから天城湯ヶ島温泉までは40分程の距離である。

2日目

浄蓮の滝の主は、いつもあなたを見つめてる

『浄蓮の滝』の立て札
『浄蓮の滝』の立て札

翌朝、中伊豆パワースポットの一つ『浄蓮の滝』へ向かう。飛瀑に降りる坂の途中に、滝壺に住むという女郎蜘蛛の伝説を説明する立札がある。それによると、滝壺に斧を落とした木こりが困っていると、妖美漂う女性が現れて斧を差し出す。その女性に「このことは口外しない」と約束するが、時が経ち、女郎蜘蛛の妖怪の噂を村人が話すのを聴くと、酔いも手伝いあの日の出来事を話してしまう。その後、木こりがどうなったかは、言うと私の命が危ないので写真を拡大して御確認を。

『天城越え』歌碑
『天城越え』歌碑

下まで降りると、滝壺の傍には石川さゆりが歌った名曲「天城越え」の歌碑があった。この歌碑、怖い! ご存知の通り歌詞も怖いのだが、歌詞を記した石版の上に石川さゆりとおぼしき肖像のレリーフがあり、この肖像がまさに”昔、田舎のお婆ちゃんの家の鴨居に飾ってあった着物姿のあれ”なのだ。これが朽ち果て苔むしているからおどろおどろしいことこの上ない。引き込まれるように肖像画を覗き込むと口元が微かに動き「恨んでも 恨んでも 躯うらはら あなた… 山が燃える~」うわっ! でたな女郎蜘蛛の妖怪! 思わずイナバウアーをしてしまった。

浄蓮の滝
浄蓮の滝

浄蓮の滝は、日本の滝百選にも選ばれた名瀑布である。滝口から水面までの落差は25m、幅は7mあり、浄蓮の滝という名称の由来は、嘗て近くにあったと浄蓮寺という寺院から付けられたとの言い伝えがある。滝の下流には、天城観光協会が運営する天城国際常設鱒釣場があり、釣り道具の貸し出しをしている。誤って女郎蜘蛛が引っ掛かったら、一巻の終わりだ。フフフ。

遊歩道脇の杭
遊歩道脇の杭

今来た道を登り、帰途につく途中、ふと道脇の杭が目に留まる。何か書かれているので読んでみる。なになに「借受人:伊豆市長 用途:浄蓮の滝歩道」。ということは何だ、滝までの遊歩道は個人が所有しており、所有者の息子がへそ曲がりで、ここをいずれ相続して「やだよ貸さないよ、べー」とか言ったら、二度と観光客は滝に近づけないではないか。ということはだ、あの女郎蜘蛛の妖怪も、不法にここを通って街に買い物には行けない! ざまあみろと振り返ると、そこには妖美なうら若き女性が、斧を持ってニヤリと立っていた。ぎゃー。
※これは白日夢によるフィクションです。浄蓮の滝は安全な観光地です。

行程表


1日目
7:20 東京インター
↓ 車で1時間10分
8:30 沼津インター
↓車で1時間30分(伊豆縦貫道→伊豆中央道→修善寺道路経由)
10:00 水生地下
↓ 徒歩で2時間30分(登り)
12:30 八丁池(休憩1時間)
↓ 徒歩で2時間(降り)
15:30 水生地下
↓ 車で40分
16:10 天城湯ヶ島温泉郷

2日目
9:00 天城湯ヶ島温泉郷 出発
↓ 車で20分
9:20 浄蓮の滝(滞在1時間)
↓ 車で1時間10分
11:30 沼津インター
↓ 車で1時間
12:40 東京インター

予算


【東京からレンタカーで行く場合】
交通費合計 23,000円程度
※宿泊代は別途

●交通費
レンタカー代 15,000円(1泊2日)
ガソリン代 3,000円(300km想定)
高速代 4,960円(往復)


天城地図イラスト

取材日:2017年某月某日
※記載の情報は取材時のものです

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