河津七滝

身体に美味しい気を吸収する旅

河津といえば、まずは「桜」というイメージが強いだろう。しかし、次いで挙がるならば、はやり「七滝」であろう。この一帯の渓流はわさびを育むほど清らかな水を湛え、四季折々に様々な表情を魅せてくれる。散策しながら胸いっぱいの深呼吸をした後は、人気の生わさび丼に鼻を突き抜ける辛さで涙する。宿は禅の湯で心と身体を解きほぐす。さあ、そんなデトックスの旅が始まった。

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旅行記

1日目

7:56 東京駅発 JR東海道新幹線 こだま637号
(乗換え)熱海8:45着/9:08発 JR伊東線 伊豆急行 伊豆急下田行き

10:20 河津駅着

10:40 河津駅発 東海バス 修善寺駅行

11:40 河津七滝バス停着

 

緑豊かな自然のイオンをたっぷりと吸い込む

河津駅から修善寺駅行きの東海バスに揺られること30分少々。何とか午前中に電車とバスを乗り継いで河津七滝に到着することができた。かねてから午前中の爽やかな空気の中で七滝を歩いて見たかったのだ。
文字通り七つの滝が流れ落ちるこの渓谷一帯にはみずみずしい空気が充満していて、歩いているだけでエネルギーを受けているような感覚になる。遊歩道を行き交う人の表情もどことなく明るく見える。しばらく行くと、次第にその表情に疲労が伺えるようにもなり、息を切らした人が多くなっている気がした。奥に進むにしたがって高低差が大きくなり、数箇所に散在する何段もの階段や吊り橋を昇り降りするということが後になって十分に分かった。河津七滝へは、もちろん動きやすい格好と靴で行くことは必須である。
遊歩道の途中に『大岩成就』というポイントがある。川岸にある拝み石と言われる的を目がけて小石を放り、的からこぼれずに投げ込めると大願が成就するというものだ。そして、願いが叶った暁には「この石に再びお礼に来るのが礼儀とされている」と説明書きがあった。お金を入れて投げてみたが、意外に難しい。どうやら大願は叶いそうになさそうだ。
透き通った水が春陽に照らされ、エメラルドグリーンに輝いている。流れる水が、一気に滝壷に吸い込まれていく様子をしばらく眺めながら、緑豊かな自然のイオンを胸いっぱいに吸い込んだ。

七滝の様子

評判を聞きつけた人が集う「わさびのかどや

店内には、評判を聞きつけて来たのであろう結構な数のお客さんが名前を呼ばれるのを今か今かと待っていた。ここは、深夜番組の人気グルメドラマで、サラリーマンに扮したある個性派俳優が訪れたことでさらに知名度と人気が出たお店だ。ここに来る前からメニューは決めてあったので、さっそくわさび丼とそばのセットを注文すると、程なくして生わさびと鮫皮おろしが運ばれて来た。当然わさびは自分ですりおろすのだ。生わさびからあの風味ある香りが漂い、丼とそばと共に食すると想像していた以上の新鮮な刺激が鼻を貫いていく。それが、なんとも心地よく、あっという間に平らげていた。

わさび丼とざるそばセット

禅寺の湯に汗と気持ちを洗い流す

天城峠へ向かう緩やかな上り坂の中腹にその宿はあった。歴史を感じさせる小さな境内の奥にシンプルな白亜の建物があり、それが今日の宿だと分かった。外観のクールなイメージとうって変わり、アットホームな雰囲気でスタッフの方々が迎え入れてくれる。一般的な宿と明らかに異なるのは、フロント脇のスペースに仏像が供えられていて、改めて“禅の宿”だということを認識する。
夕食前に汗を流そうと大浴場に向かった。少し熱めの湯は、一日歩き疲れた身体にじわりと染み入ってくるようだった。大浴場に隣接している禅の湯自慢の岩盤浴は、部屋一面に敷き詰められた熱い小石の上にタオルを敷いて身体を横たえる。身体の芯から温まっていくのがよく分かる。ほの暗い室内には心地よいヒーリング音楽が流れ、適度な暑さで我慢せずにずっと入っていられる。体内から汗と一緒に、日常のストレスと毒素が一気に絞り出される。再び、大浴場で汗を洗い流すと、とにかくさっぱりして露天風呂で肌に受けた風がとても爽やかに感じられた。
夕食は、宿の暖かさが伝わってくる手作りの品々。金目鯛の煮つけは、酒の肴としても、ご飯のおかずとしてもススんでしまう味付けで、とにかく旨い。朝食の中の一品に、わさびの茎で作った松前漬けがあり、非常に美味しかったので、思わず宿の方に声をかけたところ、近くのわさび漬け専門店で買い求められるという情報を教えてくれたが、人気があって常時品薄らしい。再訪した際に必ず立ち寄るところができた。

禅の湯外観

翌朝はゆっくりと朝寝坊したいところだが、早起きをする。それは、宿泊施設に隣接する「慈眼院」で坐禅体験を受けるためだ。古さからいえば本来は、宿泊施設の方がお寺に隣接しているという方が正しい。ここでの坐禅体験は、日曜の早朝にしか行っていないという。心を整え、姿勢を保ち、只々坐る。心を空っぽにして無になれるかどうか。無になろうとする気持ちそれ自体も邪念なのか…。眼を閉じそんな事を思い浮かべていたまさにその時、静まり返った本堂に心地よい警策の音が響いた。それからどれくらい“坐って”いただろうか。時間を忘れて何も考えずあっという間に時が過ぎていった。鬱積していたものが抜け出たような不思議な感覚になった。宿を後にすると、身も心も軽くなったように思えた。

座禅体験

2日目

湧き上がる自然の力を垣間見た瞬間

河津の温泉が吹き出ている様子が見られると聞いて、峰温泉大噴湯公園につい立ち寄ってみたくなった。中に進むと温泉が吹き出るであろう櫓を遠巻きに囲む観光客が数人見られた。ふと売店に目をやると、流れ出る源泉で温泉卵が作れると売り子さんが声を掛けている。ひとつ買い求め、出来上がりを楽しみにしつつゆっくりと熱い湯に沈めた。アナウンスが流れ、そろそろ噴出が始まるという。毎日噴出の時間が決まっているのだが、今日は運良く待たずに見れそうだ。天に向かって噴出が始まると、どんどんと高さを増していき、しぶきが煌いて虹を描いた。ひとしきり噴出が終わると観客から自然と拍手が沸いた。そのほのぼのとした光景の中で、温泉卵のことを思い出し、湯から取り上げてみた。静かに卵を割ると温泉からあがったばかりのつるつるの白身が顔を覗かせた。塩を振りかけ、頬張ると今度はしっとり半熟の黄身が鮮やかな色で現れた。噴湯や温泉卵も日常にあるようで無い、非日常の光景・体験だと感じた。

峰温泉大噴湯公園

不思議な気を感じるパワースポットで

川津来宮神社は地元でも由緒正しい古社である。来宮神社という名のつく神社は、全国にも数多く存在し、その大もとの神社とは熱海来宮神社である。ここ川津来宮神社も熱海来宮神社同様に立派な大楠が聳え立つ強力なパワースポットなのだ。境内奥に見上げる楠は、国の天然記念物に指定されている樹齢1000年以上、静岡県下でも有数の巨木である。昔この地には七本の楠が存在していたが、そのうちの現存する最後の1本だそうだ。ひんやりとした精気を受けながら、木々のざわめきを聞いていると、巨木がより神々しさを増して、棲みついた何かが飛び出てくるのではと思わせる神秘的なものを感じた。

河津来宮神社の大楠

河津桜の名所に海風を楽しむ

河津の海へ向かうように歩いていくとLOKANTA kitchen&cafeへはすぐに辿り着いた。道路から少し奥まった所にあるので注意が必要だ。地元の若者だけではなく、外国人観光客も立ち寄ることも多いという。気さくな女性オーナーが地元河津の魅力について親切に教えてくれるというのだから、さながら観光コンシェルジュの役割を果たしているのかもしれない。
このお店では、オーナーが世界各国を旅した際に気に入った料理を提供しているのだという。今回目当てのランチは、ピリ辛ナシゴレン。スパイシーに炒められたライスに大きな目玉焼きがONされている。割ると流れ出る卵の黄身をスパイシーライスと一緒にほおばればピリ辛もすぐにまろやかな味に変身する。
カウンターテラスでのんびりと川面を見ながら食事することもできるので、河津桜のシーズンには絶好の花見スポットであることは想像に難くない。

ピリ辛ナシゴレン

13:18 河津駅発 特急踊り子108号 東京行 指定席

15:49 東京駅着

行程表


1日目
7:56 東京駅発
↓ JR東海道新幹線 こだま637号
8:45 熱海駅着(乗換)
9:08 熱海駅発
↓ JR伊東線 伊豆急行 伊豆急下田行
10:20 河津駅着
10:40 河津駅発
↓ 東海バス 修善寺駅行
11:40 河津七滝 バス停着
※到着後、先に河津七滝散策をするか、もしくは混雑を避け、先にわさびのかどやで少し早目の昼食をとる方法もあります。
14:45 河津七滝バス停発

14:53 慈眼院前バス停着

14:55 禅の湯着

2日目
7:00 座禅体験
8:00 朝食
9:45 チェックアウト
10:01 慈眼院前バス停発

10:12 峰温泉バス停着
10:15〜10:50 峰温泉大噴湯公園(10:30〜噴湯)
↓ 徒歩8分
11:00〜11:30 川津来宮神社着
↓ 徒歩15分
11:45〜12:50 LOKANTA Kitchin&cafe着
↓ 徒歩10分
13:18 河津駅発
↓ 特急踊り子108号 東京行
15:49 東京駅着

予算


予算 1人 24,490円(※概算)

河津七滝の大願成就 100円
禅の湯※ 約11,700円
峰温泉大噴湯公園 温泉卵 150円

※シーズンや部屋タイプ、食事内容によって変動します

●交通費
JR東海道新幹線 こだま637号〜JR伊東線 伊豆急行 伊豆急下田行 5,890円
河津駅〜河津七滝バス停 600円
河津七滝バス停〜慈眼院前バス停 300円
慈眼院前バス停〜峰温泉バス停 360円
特急踊り子108号 5,390円


河津地図イラスト

取材日:2017年3月19日
※記載の情報は取材時のものです

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